Zend_XmlRpc_Client導入Zend Framework では、クライアントとしてリモートの XML-RPC サービスを使用することもサポートしています。そのためには Zend_XmlRpc_Client パッケージを使用します。 主な機能には、PHP と XML-RPC の間の型変換やサーバのプロキシオブジェクト、 そしてサーバが提供する機能を調べることなどがあります。 メソッドのコールZend_XmlRpc_Client のコンストラクタは、 リモート XML-RPC サーバの URL を最初の引数として受け取ります。 返されたインスタンスを使用して、 その場所からさまざまなリモートメソッドを実行します。 リモートメソッドを XML-RPC クライアントからコールするには、 インスタンスを作成した後で call() メソッドをコールします。 以下の例では Zend Framework のウェブサイト上にあるデモ用の XML-RPC サーバを使用します。Zend_XmlRpc のテストや調査のために、このサーバを使用できます。 Example #1 XML-RPC メソッドのコール
リモートメソッドのコールによって返される XML-RPC の値は、 自動的に PHP のネイティブ型に変換されます。 上の例では PHP の String が返されるので、 それをそのまま使用できます。 call() メソッドの最初のパラメータは、 コールするリモートメソッドの名前です。 そのリモートメソッドが何らかのパラメータを要求する場合は、それを call() の二番目のオプションのパラメータで指定します。 このパラメータには、リモートメソッドに渡す値を配列で指定します。 Example #2 パラメータを指定した XML-RPC メソッドのコール
リモートメソッドがパラメータを要求していない場合は、 このパラメータには何も指定しません。あるいは空の array() を渡します。リモートメソッドに渡すパラメータの配列には、 ネイティブの PHP 型と Zend_XmlRpc_Value オブジェクトの両方を使用できます。それらを混用することも可能です。 call() メソッドは自動的に XML-RPC のレスポンスを変換し、 同等な PHP ネイティブ型にして返します。返り値を Zend_XmlRpc_Response オブジェクトとして取得するには、 このメソッドの後で getLastResponse() をコールします。 型およびその変換リモートメソッドの中にはパラメータが必要なものがあります。 必要なパラメータは、Zend_XmlRpc_Client の call() メソッドの二番目のパラメータとして配列で指定します。 パラメータを渡す方法は 2 通りあります。PHP のネイティブ型 (これは自動的に変換されます) で渡すか、 対応する XML-RPC 型 (Zend_XmlRpc_Value オブジェクトのひとつ) で渡すかのいずれかです。 PHP ネイティブ変数をパラメータとして渡すcall() のパラメータをネイティブの PHP 型で渡します。つまり String 、 Integer 、 Float 、 Boolean 、 Array あるいは Object で渡すということです。 このとき、PHP のネイティブ型は自動的に検出され、 以下の表にしたがって XML-RPC 型に変換されます。
Zend_XmlRpc_Value オブジェクトをパラメータとして渡すパラメータを表す Zend_XmlRpc_Value のインスタンスを作成し、XML-RPC の型を指定することもできます。 このようにする理由には次のようなものがあります。
Zend_XmlRpc_Value オブジェクトを作成する方法は 二通りあります。Zend_XmlRpc_Value のサブクラスのインスタンスを直接作成するか、 あるいは静的ファクトリメソッド Zend_XmlRpc_Value::getXmlRpcValue() を使用します。
サーバプロキシオブジェクトリモートメソッドを XML-RPC クライアントからコールするもうひとつの方法は、 サーバプロキシを使用することです。 サーバプロキシとはリモートの XML-RPC 名前空間のプロキシとなる PHP オブジェクトで、ネイティブな PHP オブジェクトと可能な限り同じように扱えるようにしたものです。 サーバプロキシのインスタンスを作成するには、 Zend_XmlRpc_Client のインスタンスメソッド getProxy() をコールします。これは Zend_XmlRpc_Client_ServerProxy のインスタンスを返します。 サーバプロキシに対するあらゆるメソッドコールはリモートに転送され、 パラメータも通常の PHP メソッドと同じように渡せます。 Example #3 デフォルト名前空間のプロキシ
getProxy() のオプションの引数で、 リモートサーバのどの名前空間をプロキシするかを指定できます。 名前空間を指定しなかった場合は、デフォルトの名前空間をプロキシします。 次の例では、 'test' 名前空間がプロキシの対象となります。 Example #4 任意の名前空間のプロキシ
リモートサーバが入れ子状の名前空間をサポートしている場合は、 サーバプロキシでもそれを使用できます。たとえば、 上の例のサーバがメソッド test.foo.bar() を保持している場合は、$test->foo->bar() のようにコールします。 エラー処理XML-RPC のメソッドコールで発生する可能性のあるエラーには、二種類あります。 HTTP のエラーと XML-RPC の fault です。Zend_XmlRpc_Client はこれらの両方を理解するので、それぞれ独立して検出と処理が可能です。 HTTP エラーHTTP エラーが発生した場合、 つまり、たとえばリモート HTTP サーバが 404 Not Found を返したような場合に Zend_XmlRpc_Client_HttpException がスローされます。 Example #5 HTTP エラーの処理
XML-RPC クライアントの使用法にかかわらず、HTTP エラーが発生すると必ず Zend_XmlRpc_Client_HttpException がスローされます。 XML-RPC FaultXML-RPC の fault は、PHP の例外と似たものです。これは XML-RPC メソッドのコールから返される特別な型で、 エラーコードとエラーメッセージを含みます。XML-RPC の fault は、Zend_XmlRpc_Client の使用場面によって処理方法が異なります。 call() メソッドや サーバプロキシオブジェクトを使用している場合には、 XML-RPC の fault が発生すると Zend_XmlRpc_Client_FaultException がスローされます。 この例外のコードとメッセージは、もとの XML-RPC の fault レスポンスの値に対応するものとなります。 Example #6 XML-RPC Fault の処理
call() メソッドを使用してリクエストを作成した場合は、 fault の際に Zend_XmlRpc_Client_FaultException がスローされます。fault を含む Zend_XmlRpc_Response オブジェクトを取得するには getLastResponse() をコールします。 doRequest() メソッドでリクエストを作成した場合は、 例外はスローされません。そのかわりに、falut を含む Zend_XmlRpc_Response オブジェクトを返します。 これを調べるには、 Zend_XmlRpc_Response のインスタンスメソッド isFault() を使用します。 サーバのイントロスペクションXML-RPC サーバの中には、XML-RPC の system. 名前空間で デファクトのイントロスペクションメソッドをサポートしているものもあります。 Zend_XmlRpc_Client は、この機能を持つサーバもサポートしています。 Zend_XmlRpcClient の getIntrospector() メソッドをコールすると、 Zend_XmlRpc_Client_ServerIntrospection のインスタンスを取得できます。 これを使用してサーバのイントロスペクションを行います。 リクエストからレスポンスへZend_XmlRpc_Client のインスタンスメソッド call() 中で行われていることは、 まずリクエストオブジェクト (Zend_XmlRpc_Request) を作成し、 それを別のメソッド doRequest() で送信し、 その結果返されるレスポンスオブジェクト (Zend_XmlRpc_Response) を取得するということです。 doRequest() メソッドは、それ単体で直接使用することもできます。 Example #7 リクエストからレスポンスへの処理
クライアントから XML-RPC メソッドのコールが ( call() メソッド、 doRequest() メソッドあるいはサーバプロキシによって) 行われた場合は、最後のリクエストオブジェクトおよびその応答が常に getLastRequest() および getLastResponse() で取得できます。 HTTP クライアントのテストこれまでのすべての例では、HTTP クライアントの設定を行いませんでした。 このような場合、Zend_Http_Client の新しいインスタンスがデフォルトのオプションで作成され、それを自動的に Zend_XmlRpc_Client で使用します。 HTTP クライアントは、いつでも getHttpClient() メソッドで取得できます。 たいていの場合はデフォルトの HTTP クライアントで用が足りるでしょう。 しかし、 setHttpClient() を使用することで、 別の HTTP クライアントのインスタンスを使うこともできます。 setHttpClient() は、特に単体テストの際に有用です。 Zend_Http_Client_Adapter_Test と組み合わせることで、 テスト用のリモートサービスのモックを作成できます。 この方法を調べるには、Zend_XmlRpc_Client 自体の単体テストを参照ください。
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